退職が決まってから見える人間模様
転職活動が決まってからまずは上司に退職の意向を伝えました。
はっ?ちょちょ、ちょっと待て、ちょっと課長と部長を呼んでくるから
普段は冷静な上司が唐突に焦りだし…
課長と部長を呼ばれての4者面談になりました。
内容はまあ、説得のようなものなのですが…
何が不満なんだ?これ以上の企業なんてそうそうないぞ?
などと言われました。
朝は日の出前から家を出て、帰ってくるのは日付が回ってから。
土曜も日曜も出勤することがあり、連休中に出勤することもしばしば。
たしかに給料は良いのかもしれませんが、使う当てもなければ使う時間もありません。
世間の流れから取り残されて、生きているか死んでいるのかもわかりません。
元々、ここが地元の人間ではありませんので、この会社で働くことができる名誉もわかりません。
それが嫌なので転職します
と素直に伝えました。
次は決まっているのか?
と聞かれましたので…
はい、決まっています
と答えました。
そうか…
と上司は答えたあと、適当な会話が続いて4者面談は終了しました。
その後はまたたく間に、職場で私が転職することが広まってしまいました。
退職が決まってから優しくなる人冷たくなる人
退職することが職場で知れ渡ってから、ひとつ感じたことがあります。
それは、職場の人間関係の本質はこの時期に露骨に表れるということです。
サラリーマンは誰しも、円滑に仕事を進めるために周りに気を使って接しています。
しかしこの時点での私は、もはやこの職場と縁が決まっている人間です。
いわば、もう会うことのない、どうでも良い人間なのです。
それゆえ、周りの人々は普段意識している建前を取っ払い、 本質的に持っている気質をあらわにしてきました。
普段は愛想が良かった人が、退職が決まってからものすごく冷たくなったこともありました。
もう愛想を尽くしても自分に利益がこないからでしょうか?
あれ?この人ってこんな人だったけ?
他人と間違えてしまうほどドライになった人もいました。
恐いものですね。
逆に、今までは厳しかったり無視されたりしてきた人が、 急にいろいろと話しかけるようにもなりました。
つらかったことなどを推測して、やはりここがつらかったのか?などといろいろと相談されました。
あなたが挨拶から何にまでも無視するのもつらさの原因です
などとは言えるはずもなく黙っていましたが。
そんなにいろいろと考えてくれるのなら、なぜ普段からそうしなかったのかと思いました。
良い人と思っていた人が実は冷徹で、悪い人と思っていた人が実は良い人
退職が決まる前と後で、こうも人間関係の雰囲気が変わるとは正直思っていませんでした。
もちろん、前後で変化のない人も大勢いましたが。
あと、職場で同じく転職を考えていた同僚がいたのですが、やはり私の転職が決まったことで、
よりいっそう転職に対する意欲が増していました。
実際に誰かが退職すると、その波に乗って実行しやすいのでしょう。
また、転職が決まってから一番気まずくなったのは直属の上司です。
おそらく、退職者を出してしまったことで来期の査定にも何らかの影響はあると思いますし、
内心快く思ってはいないはずです。
私に対するあたりも、厳しくなったわけでもなく優しくなったわけでもなく、
無関心に徹しているような印象を受けました。
そんなかんだで実際、退職するまでの期間は上司とどことなくぎこちない関係が続きました。