映画「終わった人」を見終えた感想

この記事には映画のネタバレがふくまれておりますのでご注意ください

 

映画「終わった人」、劇場公開と間もなく見てきました。

私は知らなかったのですが、この映画は書籍の映画化だったんですね。

 

<映画のあらすじ>

定年を迎え、朝起きてから夜寝るまで何もやることがなく、世間から"終わった人"と思われるようになった主人公・田代壮介(舘)。妻・千草(黒木)や娘からは「恋でもしたら?」とからかわれ、「このままではマズイ」と感じ、職探しをしたりジムに通ったりと奮闘するも、全く上手くいかない。しかし、ある時【人生の転機】が訪れ世界が一変!"終わった人"としての人生は、思いもよらぬ出来事の連続だった!? 笑って、泣いて、それでも生きていく。人生は、まだまだ終われない!

(出典:東宝「終わった人」)

 

主人公である田代壮介の定年後のドタバタ劇を描いたストーリーなのですが、これがまたリアルであるようなリアルでないような、いろいろ考えさせられることの多い映画でした。

映画のタイトルにもあります「終わった人」とは、その言葉の通り定年退職を迎えて世間から終わった人のことなのですが、この主人公…

なんだかんだ言ってずば抜けたエリートです

東大卒の秀才であり、就職後は大手銀行の支店長などを経て、ライバルとの出世争いに敗れて子会社の取締役として定年を迎えます。

作中では、出世争いに負けて本社に戻れず子会社の取締役で終わってしまったことに対して負けた負けたと言っているのですが…

これで負けなら俺なんてどうなるんだ^^;

と思ったのはきっと私だけではないはずです。

正直、かなりの上級国民であり順風満帆の人生です。

後半、社長になった会社が傾き個人資産で負債を賄う場面が出てきますが、なんだかんだで8000万円を個人資産で補填します。

しかもコレ、自宅マンションなどを除く資産で賄っているのです。

普通の家庭なら住宅ローンだけでも十分苦しいとは思うのですが、それを除外しての8000万円の個人資産。

いったい、どこが終わっているのでしょうね…完全な勝ち組だと思うのですが^^;

自分は毎日リムジンで送迎されるべき人間だったはずだ、と言った発言などからプライドが高いのは伺えますが、ちょっと勝ち負けの基準が高すぎやしませんかね。

奥さんの千草も、会社は旦那の面倒をいつまでも見てくれないのが心配で美容室を始めるとありますが、これも疑問です。

自宅とは別に8000万円を工面できるような人間のどこが心配なのでしょうか?

もちろん、8000万円が溜まった時点は結果でしかありませんので、心配し始めた当時はもっと資産も地位もなかったかもしれませんが、それでも普通のサラリーマンよりはずっと安定したと思います。

完全な勝ち組の壮介ですらここまで心配されるのなら、普通のサラリーマンが旦那なら心臓発作で死んでいるのではないでしょうか。

とまあそんなかんだで、お金に関する部分に関しては、ちょっと一般人とは違った上級国民様の物語かな?と共感できない部分はありました。

IT会社の社長就任に関しても、元銀行マンにしてはちょっと安易じゃねえか?と思います。

日常のジムでの出会ったどこの馬の骨ともわからない人間の会社を、いくら財務状況や事業計画がしっかりしているからといってそう易々と引き継ぐとは思えません。

もちろん、プライドの高い壮介が1国の主である社長という肩書に惹かれて引き受けたと捉えられなくもないですが、そこに関しても元銀行マンがそんな安直な理由でリスクを取るとはちょっと…。

実際、社運をかけたプロジェクト(?)が1つこけただけで傾いているような脆弱性ですしね。

会社が倒産するときに、男性社員が…

鈴木社長が生きていればきっとこんなことには…

とぼやいていますが、おそらくアレ…誰が社長でもきっと無理でしょう。

会社が傾いたときに奥さんの美容室開業のチラシを社員に見せるシーンにも違和感ありありです。

俺はこれ(奥さんの美容室開業)で何とか食って生かしてもらうさ^^;

って完全な煽りにしか見えません。

見栄が先行して周りが見えないタイプなのかな?と思ってしまうほどの安直さですので、やはり社長を引き付けたのも肩書欲しさだったのでしょうか。

わかりません。

でも何度も言いますが、何だかんだで歴戦の元銀行マンです。

やはり安直すぎますし、どうも腑に落ちません。

 

定年後の生活はグサリとする場面も

しかしながら、壮介の定年後の生活には、なんだかんだ言って心にグサリとする場面もあります。

サラリーマンをしていると、忙しい毎日に追われてプライベートなど皆無ですが、逆を言えばサラリーマンであるがゆえに日常の刺激は仕事を通じて得られます。

それが定年後、急に仕事がない生活に放り込まれてしまったら、仕事に生きてきたサラリーマンにはつらいでしょうね。

いわゆる、燃え尽き症候群というやつでしょうか。

まあ、学生でも似たような経験をすることがあるでしょう。

夏休みを2週間くらい過ごすと、日常がマンネリしてきて惰性で過ごしてしまうアレです

頭が死んでいくといいましょうか、刺激がないと人間はいろいろダメになってしまうのです。

また、定年まで勤めあげたサラリーマンはなんだかんだ言って社内では年長の人間として敬われる立場だったと思いますので、それがいきなり「普通の人」になってしまうのもつらいのでしょう。

サラリーマン 会社辞めれば ただの人

とよく言われていますが、まさにその通りですね。

 

足るを知ることの大切さ

私はこの映画全体を通じて最も重要な教訓は「足ることを知る」ことではないかと思います。

自分自身が送っている人生に正解も間違いもありません。

あるのは自身が選択してきた結果であり、その選択をしてきたのは自分自身です。

となるとあとは、それを受け入れるのみだと思うのです。

世界一貧しい大統領と呼ばれているホセ・ムヒカ大統領はかの有名な演説で次のように述べています。

貧しい人とは少ししかものを持っていない人ではなく、もっともっとといくらあっても満足しない人のことだ

まさにその通りです。

この映画の主人公壮介にしても、多くのものを持っているにも関わらず、自分は負けたと言って満足していません。

それはとても不幸なことです。

壮介基準で見れば、世の中のほとんどの人は「負け組」ですが、そんな人たちが皆不幸かと言えばそんなことはありません。

皆、ある程度自身の人生を受け入れて、それなりに幸せを感じている人も少なくないでしょう。

結局は、本人の気の持ちよう次第でどうにでもなると思うのです。

 

ただ1つ気になるのは、この映画って結局はハッピーエンドなのかバッドエンドなのかよくわかりません。

壮介の1000万円の負債は残ったままですし、千草の美容室もしっかり存続していけるか不明です。

定年したサラリーマンが再就職して1000万円を返済するのは至難ですし、開業した美容室のほとんどは開業資金を食いつぶして廃業してきます。

映画は夫婦仲良しエンドみたいになっていますが、この後ってどうなのでしょうね。

東京⇔盛岡を行き来して2週間に一度髪を染めに来るって…

1回髪を染めに来るだけで電車賃だけで往復3万円以上かかるのですが^^;

私が現実的に見すぎていただけかもしれませんが、エンディングに関しては何かモヤモヤひっかかる部分もあります。

 

こうやって記事を書いてみるとアレコレいいつつ楽しんでいた自分に気づきました。

皆さんもぜひ「終わった人」、一度見られてはいかがでしょうか?

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