「とりあえず働いてみれば」に潜む無責任
現在、ある特定の職種は深刻な人手不足に陥っています。
例えば、介護業界などそうです。
一方で労働者、特に若年層の失業率は、過去に例を見ないほど上昇しています。
そんな状況下で、多くの人が失業者に投げかける言葉あります。
無職なんだから、とりあえずどこでもいいから働いてみればいいんだよ
一見、理にかなっているようにも見えます。
たしかにそうです。
人材不足な業界があるのなら、失業者はどんどんそこに入ればいいのです。
しかし現実は、そううまくいくものではありません。
介護業界を例に挙げてみると…とにかく労働環境が悪いです。
正社員で働いても、給与がパート以下という場合もちらほらと。
その上、衛生面、精神面、労働時間、どれをとっても最低レベルです。
そして一番問題なのが、一度そういった業界に入ってしまうと抜け出すのが困難なことです。
あるいは、違う業界に行ったところで培ったスキルがほとんど通用しないことです。
となると結局、一度足を突っ込んでしまうとズルズルとその業界に縛り付けられてしまい、
気づけばどうしようもない年齢になってしまいます。
それらの問題をすべて飲み込んだ上で妥協できる人なら無問題なのいのですが、多くの人は二の足を踏みます。
あたりまえです。
誰だって人生を捨てたくないのです
とりあえず働いてみればいい
問題はそんなに簡単ではありません。
むしろ、とりあえずなどと気軽に言うのは無責任です。
そんな無責任なことを言っているうちは…
とりあえず好きなことして、無理になったら生活保護でも何でも国に面倒みてもらうさ
という人が増え続けるでしょう。
労働環境の改善が最優先でも…
ではいったいどうすればよいのか?
一番の問題は、日本の労働環境の悪さと雇用の流動性の低さにあると思います。
労働基準法、このザルのような法律がもう少し機能している社会なら、少しは状況も違っていたかもしれません。
業界によって給与格差が生じる、これは仕方がないと思います。
専門性や仕事の内容もマチマチなのですから、格差がないほうが不平等です。
しかし、業界によってサービス残業などの無賃金労働の頻度が異なる。
これは問題です。
加えて、給与水準の低い業界はサービス残業も多い傾向があります。
何の魅力もありません。
いったい誰が好き好んで奴隷になりたがりますか?
そんな業界は人気がなくなって人手不足に陥るのは当然です。
国も改善改善と言っておきながら、あまり改善する気がないように思えます。
まあ、金銭面では無い袖は振れないでしょうし、下手にお金を与えればそれを食い物にする輩に取られてしまい、
結局は現場は何も変わらないのが目に見えているからでしょう。
詰んでいます。
労働環境を改善しなければ解決できないでしょうが、今の基盤が出来上がった社会では今から改善するのは不可能です。
あと、どんなに労働環境が悪くても我慢して働く人がいる以上、改善されることはないでしょう。
じゃあ移民がくれば解決?
いいえ逆です
移民なんて来ようものなら、労働環境の底がさらに抜けてしまうかもしれません。
劣悪な労働環境で働くを移民で補って、その環境があたりまえになったら…
さらに劣悪な労働環境が生まれるからです。
結局すべてに言えることは…
とりあえず(劣悪な労働環境でも我慢して)働こう
といった人が劣悪な労働環境の原因なのです。