ブラック企業を題材にした映画

いつだったか、ブラック企業を題材にした映画がありました。
たしかタイトルは…
「ブラック企業に勤めているんだが、もう俺は限界かもしれない」
だったと思います。（以下、映画内容のネタバレ注意）
その名の通り内容はブラック企業に勤めている社員の物語です。
元々はブラック企業に勤めている新入社員が、
2ちゃんねる掲示板に自身の社畜生活を書き込んだのがきっかけだったのですが、
その書き込まれた内容のリアルさや悲惨さが話題になり書籍化・映画化に至りました。
映画の内容は…
まあ、ブラック企業の典型的なイメージを描いた一般的なものです。
ブラック企業を知らない人に取っては恐いもの見たさをそそる良作でしょう。
ブラック企業経験者に取っては、なんかこう…胃が痛くなる内容です。
個人的には、ブラック企業の社員がなんだかんだいって根は「良い人」
というのがイマイチ気に食わないポイントではありましたが、
とりあえずブラック企業の社畜生活がよく描かれているのではないでしょうか。
ただ…こういった映画を見ているとものすごく発言したいことがあります。
それは…
笑えない犯罪行為を題材にするのはどうなんだ？ということです。
そもそもブラック企業なんて言葉が気軽に使われていることにも違和感を覚えますし、
この映画の内容なんて労働基準法なんて完全に無視した無法行為がメインです。
警察は取り締まれよホント…
と感じ始めると、正直鑑賞中もイライラすることでしょう。
ブラック企業を映画の題材にして庶民の笑い話にする前に、
現実でブラック企業に勤めている人々を助けてやれよと切に思います。
社員の私生活をほぼ全て奪い強制的に社畜生活を強いるブラック企業なんて、
完全な犯罪組織です。
こんな犯罪行為をメインにした映画が許されるのなら、それこそ極端な話…
一般人を殺したり、襲撃したりするのがメインの映画も許されことになります。
一昔前にバトルロワイヤルという、
一般の中学生が惨殺されまくる映画が問題になりましたが、
この映画も見かたを変えれば社会人の人生が殺されまくっているのですがどうでしょう。
しかも、ストーリーの最後でブラック企業が取り締まられて終わるのではなく、
単にブラック企業におけるデスマーチをいくつかこなしただけで物語が終わっています。
結局、何も解決されておりません（笑）
そういった観点で見ると、ものすごくスッキリしない終わり方をした映画でした。
デスマーチをクリアしてハッピーエンドのようなエンドロールでしたが、
あれは間違いなくバッドエンドでしょう。
デスマーチをクリアした先に待っているのは、さらなる過酷なデスマーチ。
基本的に社員は使い捨てなので、つぶれるまで酷使された挙句最後は捨てられます。
どうせリアルを描くのなら、そこまで徹底的に描いて欲しかったと思います。

ブラック企業に勤めていてハッピーエンドなんてありえません

むしろ、ハッピーエンドで終わるようならブラック企業ではありません。
あの映画を見て、ブラック企業でもなんだかんだいって良い企業もあるんだなと、
まるでわけがわからない勘違いをする人がいないか心配です。
ブラック企業に良い企業なんてありません。
加えて、映画のように根は良い人なんてブラック企業にはそうそうおりません。
たいていはブラックな環境で精神がおかしくなっている人、理不尽な人、
何事にも抗うのをやめて言いなりになっている人のいずれかです。
そんな中に1人放り込まれたら？
ネチネチと精神的な苦痛を与えられ続け、頭がおかしくなるまでいじめ抜かれるだけです。
映画の終盤に、主人公たちが一丸となってデスマーチに挑んでいくときに、
いままで主人公をいじめ抜いてきた主任が自ら仕事を手伝って、
みんなでデスマーチを乗り越えるシーンがありましたが…
……なんだかな〜と思ったのは私だけでしょうか。
そのブラック企業が特異なだけで普通は他人なんて助けている余裕はないと思います。
まあ最後のシーンで、
ブラック企業の社長が新しい社員をゲットしてほくそ笑むシーンを入れていたのは、
主人公や主任を含めたすべての社員は結局のところ社長の使い捨ての手駒にすぎない
といった皮肉が利いていてよかったと思います。

とまあ何だかんだいって楽しんでいた私がいます。
まあ映画としてはよくまとまっていたのではないでしょうか。
ただ…現実のブラック企業を取り締まれとはつくづく思ってしまいますが。

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